Skip to content
← ブログ一覧に戻る

AIによる画像認識技術とは?_SREホールディングス株式会社

image-recognition-aiはじめに

AIによる画像認識技術とは、人工知能(AI)を用いてデジタル画像やビデオから物体、人物、シーン、パターンなどの情報を識別、抽出、解析する技術のことです。主に機械学習やディープラーニング、特に畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks, CNN)という手法が用いられます。

画像認識技術は、以下のようなタスクに応用されています。

  1. 物体認識(Object Recognition)
    画像内の個々の物体を検出し、それらが何であるかを特定します。
  2. 顔認識(Face Recognition)
    画像内の人物の顔を検出し、個人を特定するために使用されます。
  3. シーン認識(Scene Recognition)
    画像や動画内のシーン全体を理解し、場所や状況を特定します。
  4. セマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)
    画像内の各ピクセルにラベルを付与して、物体や背景の境界を明確に識別します。

画像認識技術は、自動運転車、スマートフォンの顔認証、医療画像解析、監視カメラ、ロボットビジョン、SNSの画像タグ付けなど、多くの分野で幅広く活用されており、研究開発が盛んに行われています。

画像認識技術の種類

出典:https://ultralytics.com/yolov8

物体認識(Object Recognition)

物体認識(Object Recognition)は、デジタル画像や動画から個々の物体を検出し、それらが何であるかを特定するタスクです。物体認識技術は、以下のサブタスクに分類されます。

  1. 物体検出(Object Detiection)
    画像内の物体の位置と範囲(Bounding Box)を特定します。検出された物体には、クラスラベルが付与されます(例:犬、猫、自動車など)。
  2. 物体分類(Object Classification)
    与えられた画像内の物体がどのクラスに属するかを特定します。物体分類は、通常、画像内に単一の物体が存在することを前提としています。

物体認識技術は、機械学習アルゴリズム、特にディープラーニングを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が主に使用されています。CNNは、画像の特長を階層的に抽出し、物体の形状やテクスチャなどの情報を学習することができます。物体認識の一般的な手順は以下の通りです。

  1. 画像の前処理
    画像サイズや色空間を調整し、データを正規化します。
  2. 特徴抽出
    CNNを用いて、画像から特徴マップを生成します。
  3. 分類器の訓練
    特徴マップと対応するラベルを用いて、分類器(例:SVM、Softmax回帰)を訓練します。
  4. 物体検出
    スライディングウィンドウやリージョン提案手法を用いて、画像内の物体候補領域を特定します。
  5. 物体分類
    候補領域に対して、訓練済みの分類器を適用し、物体のクラスを特定します。
  6. 非最大抑制
    重複した物体検出結果を除去し、最終的な物体の位置とクラスラベルを生成します。

物体認識技術は、自動運転車、ロボット、監視カメラ、画像検索エンジン、広告ターゲティングなど、多くの分野で応用されています。また、研究開発が進むことで、より高精度かつ高速な物体認識アルゴリズムが開発されており、その技術は日々進化しています。近年の物体認識の研究開発では、以下のようなトピックが注目されています。

  1. リアルタイム物体認識
    高速な処理が求められるアプリケーション(例:自動運転車、ドローン)のために、リアルタイムで物体認識を行うアルゴリズムの開発が進められています。例えば、YOLO(You Only Look Once)やSSD(Single Shot MultiBox Detector)などのアルゴリズムがあります。
  2. 3D物体認識
    2D画像だけでなく、3D点群データやデプス情報を利用して物体を認識する技術が研究されています。これにより、物体の形状や位置をより正確に把握できるため、ロボティクスや拡張現実(AR)アプリケーションなどに応用されています。
  3. 弱教師あり学習や教師なし学習
    大量のラベル付きデータを必要とする教師あり学習に代わり、少量のラベル付きデータやラベルなしデータを用いて物体認識モデルを学習する手法が研究されています。これにより、データ収集とアノテーションのコストを削減することが期待されています。
  4. ドメイン適応と転移学習
    異なるドメインやタスク間で学習済みのモデルを効果的に転用する手法が研究されています。これにより、新しいタスクや環境に対応するための学習時間やデータ量を削減できることが期待されています。

これらの技術の発展により、物体認識の性能は向上し続け、より多くの応用分野で活用されることが予想されています。

顔認識(Face Recognition)

顔認識(Face Recognition)、画像や動画から人物の顔を検出し、特定の個人を識別する技術です。顔認識は主に以下の3つのサブタスクに分けられます。

  1. 顔検出(Face Detection)
    画像内に存在する顔の位置と範囲(Bounding Box)を特定します。
  2. 顔特徴抽出(Feature Extraction)
    検出された顔領域から、顔の特徴量を抽出します。これには、顔の形状、目、鼻、口などのパーツ位置や形、肌の色やテクスチャなどが含まれます。
  3. 顔照合(Face Matching)
    抽出された顔特徴量を利用して、顔データベース内の既知の個人と照合し、特定の個人を識別します。

顔認識技術には、機械学習アルゴリズム、特にディープラーニングを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が主に使用されています。近年では、FaceNetやArcFaceなどの高精度な顔認識アルゴリズムが開発されています。これらのアルゴリズムは、大量の顔画像データを用いて訓練され、高い識別性能を実現しています。

顔認識技術は、以下のような分野で広く応用されています。

  1. スマートフォンの顔認証
    スマートフォンのロック解除や決済認証などに用いられています。
  2. ソーシャルメディア
    友人や家族の顔を自動的にタグ付けする機能などが提供されています。
  3. セキュリティ・監視
    空港、駅、企業の入退室管理、犯罪者の追跡など、セキュリティ目的で利用されています。
  4. 決済システム
    顔認証を利用した無人決済システムが実用化されています。

顔認証技術は、個人のプライバシーや情報保護に関する懸念も引き起こしています。そのため、技術の利用に際しては、個人情報保護やプライバシーに配慮した規制やガイドラインが重要となります。また、バイアスや差別を招かないような公平な顔認識システムの構築も重要です。特に、性別、年齢、人種、肌の色などの要素によって顔認識の性能が低下する場合があります。これは、訓練データセットの偏りや、アルゴリズムの設計に起因することが多いです。バイアスを軽減するために、以下のような取り組みが行われています。

  1. 多様なデータセットの利用
    異なる人種、年齢、性別などの多様な顔画像を含むデータセットを用いて、モデルを訓練することで、顔認識のバイアスを軽減できます。
  2. バイアスを考慮したアルゴリズム設計
    バイアスを明示的に考慮したアルゴリズムの設計や、既存のアルゴリズムを改良することで、公平性を向上させることができます。
  3. モデルの評価・監視
    顔認識モデルの性能を定期的に評価し、バイアスが発生していないかを監視することが重要です。また、バイアスを検出した場合には、適切な対策を講じる必要があります。

顔認識技術は、その利便性とともに様々な課題を抱えています。研究開発が進むことで、より高精度かつ公平でプライバシーに配慮した顔認識技術が期待されています。

シーン認識(Scene Recognition)

シーン認識(Scene Recognition)は、画像や動画からそのシーンがどのような環境や状況であるかを特定する技術です。シーン認識では、画像全体の視覚的特徴や物体の関係性、配置、背景情報などを用いて、画像が表現するシーンのカテゴリを識別します。例えば、海辺、山、都市、リビングルーム、キッチンなど、様々なシーンカテゴリが考えられます。

シーン認識技術にも、機械学習アルゴリズム、特にディープラーニングを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が主に使用されています。CNNは、画像の特徴を階層的に抽出することで、シーン全体の視覚的パターンや物体の関係性を学習することができます。シーン認識の一般的な手順は以下の通りです。

  1. 画像の前処理
    画像のサイズや色空間を調整し、データを正規化します。
  2. 特徴抽出
    CNNを用いて、画像から特徴マップを生成します。この際、局所的な特徴だけでなく、グローバルな特徴も抽出されます。
  3. 分類器の訓練
    特徴マップと対応するシーンラベルを用いて、分類器(例:SVM、Softmax回帰)を訓練します。
  4. シーン分類
    未知の画像に対して、訓練済みの分類器を適用し、シーンカテゴリを特定します。

シーン分類は、以下のような応用分野で活用されています。

  1. 画像検索エンジン
    画像の内容に基づいて検索結果を絞り込むことができます。
  2. ロボティクス
    ロボットが自身の環境を理解し、適切な行動を取るためにシーン認識が利用されます。
  3. セキュリティ・監視
    監視カメラの映像から、異常なシーンを検出することが可能です。
  4. ソーシャルメディア
    シーン情報に基づいて、画像を自動的にタグ付けや整理ができます。
  5. 旅行・観光
    シーン認識を用いて、観光地やホテルの写真から、訪れるべき場所や滞在先を推薦することができます。
  6. ゲームや映画の制作
    シーン認識技術を用いて、リアルタイムで背景や環境を生成・変更することが可能です。

シーン認識技術は、その性能向上や応用範囲の拡大に伴い、様々な産業や分野で重要な役割を担っています。今度も、ディープラーニングや画像処理技術の発展により、さらに高精度で柔軟なシーン認識の実現が期待されています。

セマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)

セマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)は、画像内の各ピクセルに対して、そのピクセルが属する物体のカテゴリを識別する技術です。つまり、画像全体を物体カテゴリごとに分割することを目指しています。セマンティックセグメンテーションでは、物体の形状や境界を正確に把握することが重要です。

セマンティックセグメンテーションの技術にも、ディープラーニングを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が主に使用されています。特に、フィーチャーマップをアップサンプリングして元の画像サイズに戻すデコンボリューション層や、スキップ接続を用いた U-Net、Dilated Convolution(Atrous Convolution)を用いた DeepLab など、高精度なセグメンテーションを実現するアーキテクチャが提案されています。セマンティックセグメンテーションの一般的な手順は以下の通りです。

  1. 画像の前処理
    画像サイズや色空間を調整し、データを正規化します。
  2. 特徴抽出
    CNNを用いて、画像から特徴マップを生成します。
  3. セグメンテーションマップ生成
    デコンボリューション層やスキップ接続などを用いて、特徴マップを元の画像サイズにアップサンプリングし、各ピクセルに対する物体カテゴリの確立マップを生成します。
  4. セグメンテーション結果の取得
    確率マップから、各ピクセルが属する物体カテゴリを決定します。

セマンティックセグメンテーション技術は、以下のような応用分野で利用されています。

  1. 自動運転
    道路上の車両、歩行者、自転車などを正確に認識し、衝突回避や経路計画に役立てます。
  2. 医療画像解析
    MRIやCTスキャン画像から、病変部位や器官の境界を正確に把握し、診断や手術計画に活用します。
  3. ロボティクス
    ロボットが環境を理解し、適切な行動を選択するためにセマンティックセグメンテーションが利用されます。例えば、物体の把握や障害物回避などのタスクにおいて役立ちます。
  4. ドローン
    ドローンが空中から撮影した画像を解析し、農地や建物んの状態を把握するためにセマンティックセグメンテーションが使用されます。
  5. コンピュータビジョン
    画像編集やAR/VRなどの分野で、背景と前景の分離や特定の物体の操作が容易になります。
  6. ゲームや映画の制作
    セマンティックセグメンテーションを用いてリアルタイムで背景や環境を生成・変更することが可能です。

セマンティックセグメンテーション技術は、高精度な物体認識や境界把握が求められる様々な分野で活用されています。今後もディープラーニングや画像処理技術の発展により、さらに高精度でリアルタイムなセマンティックセグメンテーションの実現が期待されています。

 

まとめ

本記事では、画像認識技術の概要について紹介してきました。幅広い分野にて画像認識が活用されてきており、技術の向上により高精度で解析や認識、予測、効率化が実現できることが分かりました。

SREホールディングスでは、非常に高精度な画像認識技術を持っており、様々な分野に応用可能です。画像認識AIの活用をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。